「プログラミングで自由研究ができないか」
そう考えて調べ始めると、作品のアイデアを並べた記事がたくさん出てきます。
ゲームを作る、アニメーションを作る、クイズを作る——どれも楽しそうです。
ですが、実際に取りかかると別の問題が出てきます。
- できたものを、どうやって提出するのか
- 「作りました」だけで、研究として認められるのか
この2つは、テーマを決めるより先に考えておくべき部分です。
ここが決まっていないと、完成してから慌てることになります。
この記事では、まずその2点を整理してから、テーマの例をご紹介します。
【最初に】提出物をどうするか、先に決めてください
これは順番の問題です。
作ってから考えると、間に合わなくなることがあります。
画面の中のものは、そのままでは提出できません
自由研究は、何かを持っていく前提で成り立っています。模造紙、レポート、工作物。
ところがプログラミングの成果物は、画面の中にあります。
先生に見てもらうには、何らかの形で外に出す必要があります。
方法は、大きく3つあります
| 方法 | 準備の手間 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 画面を印刷して、紙にまとめる | 小 | いちばん確実。全員に見せられる |
| ② 動画に撮る | 中 | 動きが伝わる。再生する環境が必要 |
| ③ 共有リンクを作る | 大 | 世界に公開されます(後述) |
いちばん確実なのは①です。
Scratchの画面をスクリーンショットで撮り、印刷して模造紙やレポートに貼る。
紙になっていれば、教室に置いても、みんなで見ても問題ありません。
②の動画は、動きが伝わるのが利点で、パソコンの画面録画機能や、タブレットで撮影する方法があります。
ただし教室で再生できるかどうかは、学校によります。
③「共有リンク」は、思っているより準備が必要です
「Scratchには共有機能があるから、リンクを送れば早いのでは」——そう考える方も多いと思います。
ですが、いくつか知っておくべきことがあります。
まず、共有すると世界中に公開されます。
Scratchの「共有する」ボタンを押すと、その作品は誰でも遊べる状態になります。
先生に見せるためだけのつもりでも、インターネット上に出ることになります。
これ自体は悪いことではありませんが、そのつもりがないなら避けたほうがいい部分です。
次に、準備に時間がかかります。
- Scratchアカウントが必要です。作らないと保存も公開もできません
- 16歳未満の場合、保護者のメールアドレスが必要になります
- メールアドレスの認証をしないと、共有できません
- 保護者の承認がないと、共有もコメントもできない制限状態のままになります
夏休みの終わりに慌てて用意しようとすると、間に合わない可能性があります。
共有リンクを使うなら、取りかかる前にアカウントを整えておいてください。
「作りました」だけでは、研究になりません
もうひとつ、先に押さえておきたい点です。
自由研究に必要なのは「問い」です
自由研究は、名前のとおり研究です。
そして研究には、問いと、それを確かめた過程が必要になります。
「ゲームを作りました」だけだと、工作として扱われるか、評価されにくいことがあります。
作品としては立派でも、何を調べたのかが見えないからです。
作品を、研究の形に変える
やることは難しくありません。問いを先に立てるだけです。
| × 作品で終わる書き方 | 〇 研究になる書き方 |
|---|---|
| ゲームを作りました | どうすれば「難しすぎず、簡単すぎない」ゲームになるかを調べました |
| 猫を動かしました | 猫の速さを変えると、遊びやすさがどう変わるかを試しました |
| クイズを作りました | 問題の順番を変えると、正解率が変わるかを調べました |
同じ作品でも、問いがあるだけで研究になります。
レポートに書く5つのこと
紙にまとめるときは、この順番で書けば形になります。
- 調べたかったこと(問い)
- 予想(たぶんこうなると思った)
- 作ったもの・試したこと(画面の写真を貼る)
- 結果(どうなったか)
- 分かったこと・次にやりたいこと
③に画面の写真が入るので、提出物の問題もここで同時に解決します。
テーマの例(かかる日数の目安つき)
問いの立て方が分かったところで、テーマの例を挙げます。
日数の目安もつけておきます。
1〜2日でできるもの
① キャラクターの動きを比べる
問い:「速さをいくつにすると、いちばん遊びやすいか」
同じゲームで速さを変えたものを何種類か作り、家族に遊んでもらって比べます。
人に試してもらう過程が、そのまま研究になります。
② 身の回りの仕組みを再現する
問い:「自動ドアは、どういう手順で動いているのか」
「人が近づいたら開く」「離れたら閉じる」を、Scratchで再現します。
身近な機械の仕組みを分解するという切り口です。
3〜5日かけるもの
③ 計算やシミュレーション
問い:「サイコロを100回振ると、出る目はどのくらい均等になるか」
プログラムで何度も試して、結果をグラフにします。
手作業では大変なことを、プログラムなら一瞬でできるという発見が入ります。
④ 数字の性質を調べる
問い:「九九の答えを並べると、どんな模様ができるか」
計算結果を色や図で表示させます。
算数とプログラミングがつながるテーマです。
じっくり取り組むもの
⑤ ゲームを作り、遊んでもらって改良する
問い:「どうすれば、もっと面白いと感じてもらえるか」
作る → 家族に遊んでもらう → 意見を聞く → 直す。
この繰り返しを記録すること自体が研究になります。
大切なのは、テーマの派手さではありません。
問いがあって、試した記録が残っていれば、シンプルなものでも研究として成立します。
うまくいかない場合の備えも必要です
夏休みの自由研究には、期限があります。
そしてプログラミングは、思ったとおりに動かない時間が必ず発生します。
完成しなくても、研究にはできます
もし予定していたものが完成しなかった場合でも、うまくいかなかった過程を書けば研究になります。
「〇〇を作ろうとしたが、△△の部分が動かなかった。原因を調べたところ□□だと分かった。次はこうしてみたい」
これは立派なレポートです。
むしろ、試行錯誤の記録が残っているぶん、研究らしくなることもあります。
規模は、小さめに設定してください
つまずいたときの余裕を残すため、最初に立てる目標は小さめにしておくことをおすすめします。
大作を目指して途中で力尽きるより、小さく完成させて、余った時間で改良を足すほうが確実です。
つまずきやすい場所については プログラミングは難しい?子どもがつまずくのは、具体的にどこなのか で整理しています。
AIを使ってもいいのか
近年、必ず出てくる疑問です。
※まず、学校のルールを確認してください
AIの扱いは、学校や自治体によって方針が異なります。
「使ってはいけない」としている場合もあれば、「使った場合は明記すること」としている場合もあるので、取りかかる前に確認しておくのが確実です。
使う場合は「どう使ったか」も書く
もし使ってよい場合、おすすめの書き方があります。
AIに聞いた内容と、自分で考えた部分を、分けて書くことです。
「〇〇の作り方をAIに聞いた。返ってきた方法をそのまま使うとうまくいかなかったので、△△の部分を自分で変えた」
これは、研究として非常に誠実な書き方です。
そして実際、AIの答えがそのまま使えることはあまりありません。
「AIへの聞き方」自体を研究にする手もあります
さらに踏み込むなら、こういうテーマも考えられます。
問い:「AIに同じことを聞くとき、聞き方を変えると答えはどう変わるか」
実際に何通りかの聞き方を試して、返ってきた答えを比べる。
これは今の時代らしいテーマですし、そのまま情報リテラシーの学習にもなります。
AIの使い方については 子どものAIの使い方|質問する力の育て方と、AI・人の使い分け で詳しく書いています。
よくある質問
Q. プログラミング未経験でも、夏休み中にできますか?
簡単なものであれば可能です。
Scratchは無料で、その日から始められます。
ただし夏休みの後半に取りかかると余裕がなくなるので、早めに一度触っておくことをおすすめします。
始め方は 子どものプログラミング、何から始める?今日できる最初の一歩 にまとめています。
Q. 親がプログラミングを分からないのですが
問題ありません。
教える必要はなく、「それどうやったの?」と聞く役に回るほうがうまくいきます。
説明させることが、そのままレポートの材料になります。
Q. パソコンがなく、タブレットしかありません
タブレットでもScratchは使えます。
ただし画面の印刷や画面録画の方法が機種によって異なるので、提出方法は事前に確認しておいてください。
Q. 先生に「これは研究じゃない」と言われませんか?
問いと結果が書いてあれば、研究として成立します。
逆に作品だけを提出すると、そう受け取られる可能性があります。
この記事の「レポートに書く5つのこと」を押さえておけば大丈夫だと思います。
Q. 兄弟で同じテーマにしても大丈夫ですか?
問いを変えれば問題ありません。
同じゲームを作っても、「速さ」を調べるのと「色」を調べるのでは別の研究になります。
Q. どのくらいの分量を書けばいいですか?
学年によりますが、画面の写真を数枚貼れば、紙面はかなり埋まります。
文章量よりも、問い・試したこと・結果がそろっているかのほうが重要です。
まとめ
プログラミングで自由研究をするなら、テーマより先に決めることが2つあります。
① 提出物をどうするか
画面の中のものは、そのままでは提出できません。
いちばん確実なのは、画面を印刷して紙にまとめる方法です。
共有リンクを使う場合は、世界中に公開されることと、アカウントの準備に時間がかかること(16歳未満は保護者のメールアドレスと認証が必要)を先に確認してください。
② 研究の形にすること
「作りました」だけでは研究になりません。問いを立てるだけで、同じ作品が研究に変わります。
× ゲームを作りました
〇 どうすれば「難しすぎず、簡単すぎない」ゲームになるかを調べました
レポートには、問い・予想・試したこと・結果・分かったことの5つを書けば形になります。
そして完成しなくても大丈夫です。うまくいかなかった過程を書けば、それも研究になります。
むしろ試行錯誤の記録があるぶん、研究らしくなることもあります。
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