「習い事は、いくつまでが適切なんだろう」
増やしたいけれど回らなくなりそう。あるいは、すでに手一杯で減らすべきか迷っている。
どちらの立場でも、一度は考えることだと思います。
調べると「2〜3個が目安」といった数字が出てきます。
ですが、この数字はあまり役に立ちません。
3つでも余裕がある家庭もあれば、2つで限界の家庭もあるからです。
この記事では、何が負荷を決めているのかを分解します。
個数ではなく、そちらで判断するほうが確実だからです。
個数では決まりません
同じ「2つ」でも、まったく違います
例を2つ挙げます。
Aさんの家庭:スイミング+ピアノ
- スイミング … 週1回、車で片道15分、送迎あり
- ピアノ … 週1回、徒歩5分、送迎あり、発表会前は練習の付き添い
Bさんの家庭:通信教材+オンライン英会話
- 通信教材 … 好きな時間に、自宅で
- オンライン英会話 … 曜日固定だが自宅、送迎なし
どちらも「習い事2つ」です。
ですが、家庭にかかる負荷はまったく違います。
Aさんは毎週2回、決まった時間に家を出る必要があります。
Bさんは移動そのものがありません。
決めているのは、個数ではありません
つまり「何個まで」という問いは、そもそも立て方が合っていません。
見るべきなのは、その習い事が家庭の時間をどれだけ拘束するかです。
負荷を決めている3つの要素
分解すると、次の3つに絞れます。
① 送迎があるか
いちばん大きい要素です。
送迎がある習い事は、授業時間そのものより長く家庭の時間を使います。
片道20分なら往復40分、待ち時間を含めれば1回1時間を超えることもあります。
送迎の負担については 習い事の送り迎えが大変|年数十時間の負担と、自宅で完結する選択肢 で詳しく計算しています。
② 曜日が固定されているか
見落とされやすいのがこれです。
「毎週火曜17時」という習い事は、その時間を毎週押さえることになります。
他の予定は、そこを避けて組むしかありません。
固定された枠が増えるほど、週の自由度は減ります。
そして2つ目、3つ目を追加するときに、組み合わせられる時間が急激に少なくなります。
③ 親が同席・関与する必要があるか
練習の付き添い、宿題の確認、発表会の準備、保護者当番——習い事によっては、親の稼働が発生します。
これは表に出にくい負荷です。
月謝には含まれていませんが、確実に時間を使っています。
自分の家の負荷を、数えてみる
上の3つで、現在の習い事をチェックしてみてください。
| 習い事 | ①送迎 | ②曜日固定 | ③親の関与 | 負荷 |
|---|---|---|---|---|
| (記入例)スイミング | あり | あり | なし | 中〜高 |
| (記入例)ピアノ | あり | あり | あり | 高 |
| (記入例)通信教材 | なし | なし | 少し | 低 |
3つとも「あり」なら、それだけで週の予定はかなり埋まります。
逆に3つとも「なし」に近ければ、個数が増えても回ります。
「何個やっているか」ではなく、「いくつ埋まっているか」で見てください。
減らしたいときの判断基準
すでに手一杯で、減らすことを考えている場合の話です。
「好きかどうか」より先に見るところ
やめるものを決めるとき、多くの方は「本人が好きかどうか」で判断します。
もちろん重要ですが、その前に確認したいことがあります。
負荷の高いものから見てください。
上の表で「高」がついたものが、家庭の時間をいちばん使っています。
そして子どもが好きかどうかと、家庭の負荷は関係ありません。
好きだけれど負荷が高いものが見つかったら、そこが次の話につながります。
やめる前に、形式を変えられないか
やめる以外の選択肢として、形式を変えるという手があります。
- 通っている教室を、オンラインに切り替えられないか
- 週2回のものを、週1回にできないか
- 送迎が必要な教室から、近所の教室に移れないか
「続けるか、やめるか」の二択にする前に、形を変える余地がないかを見てみてください。
子どもが好きなものを、負荷を理由に手放すのはもったいない話です。
なお、お子さん本人が「やめたい」と言っている場合は、負荷とは別の理由があるかもしれません。
その中身を分けて考える方法は 子どもが習い事をやめたいと言ったら?「やめたい」の中身を分けて考える にまとめています。
増やすなら、負荷の低いものを
逆に、増やしたい場合の話です。
すでに固定された枠が2つ以上ある場合、3つ目に「送迎あり・曜日固定」のものを足すのは現実的ではありません。
増やすなら、3つの要素が少ないものを選ぶことになります。
実際に多いのは、スポーツ系との組み合わせ
当教室でも掛け持ちしている生徒は多く、いちばん多いのはスポーツ系の習い事との組み合わせです。
これは理由がはっきりしています。スポーツ系は3要素をすべて満たしやすいからです。
- 送迎がある
- 曜日と時間が決まっている
- 大会や試合で、親の関与も発生する
だからこそ、もう一つ追加するなら負荷の低いものになるわけです。
「両立しやすいから」という入会理由
実際、当教室に入会される理由として「他の習い事と両立しやすいから」というお声をいただくことがあります。
当教室は曜日も時間も固定されておらず、送迎もありません。
そのため、既にある予定とぶつかりません。
忙しい時期は、間を空けられます
そしてこれが、実際の使われ方です。
大会が近い時期は、当教室に来る頻度を落とす生徒がいます。
週に何度も来ていた子が、大会前は週1回になる。終わったらまた戻ってくる。
回数が決まっていないので、そうした調整ができます。
「今週は行けなかった」が損にならない形式については 通い放題のプログラミング教室|価値は「来なくていい日がある」こと で詳しく書いています。
数より大事なこと
ここまで負荷の話をしてきましたが、もう一つ確認しておきたいことがあります。
予定が埋まりすぎると、何が起きるか
負荷が低い習い事なら、いくつでも増やしていい——というわけではありません。
予定が埋まりすぎると、子どもの「何もしない時間」が消えます。
そして、その時間から生まれるものがあります。
- 自分で「何をしようか」と考える時間
- 好きなことに、期限なく没頭する時間
- 友達と、目的もなく遊ぶ時間
習い事は、与えられた枠の中で過ごす時間です。
それが1日のすべてを占めると、自分で決める経験が減ります。
自分から動く力については 自走力のある子どもの育て方|プログラミングで「自分から動く力」が身につく理由 で詳しく書いています。
埋めることが目的にならないように
「せっかく通い放題だから毎日行かせよう」も、同じ問題を含んでいます。
当教室でも、毎日来ている子はいません。多い子で2〜3日に1回です。それで十分だと考えています。
大事なのは、空いた時間に何を入れるかではなく、空いた時間があることかもしれません。
よくある質問
Q. 一般的には何個くらいが多いのですか?
2〜3個という数字をよく見かけます。
ただしこの記事でお伝えしたとおり、個数はあまり参考になりません。
同じ3つでも、送迎の有無で負担はまったく違います。
Q. 子どもが「もっとやりたい」と言っています
本人の希望であれば前向きに考えていいと思います。
ただし送迎と曜日の固定が増えると、続かなくなるのは家庭側です。負荷の低い形式から検討してみてください。
Q. 掛け持ちすると、どっちつかずになりませんか?
負荷が高いものを複数抱えると、その可能性はあります。
予定に追われて、どれも消化しきれなくなるためです。
逆に、自分のペースで進められるものであれば、他と競合しにくくなります。
Q. 習い事を減らしたら、子どもが暇そうにしています
それは悪いことではありません。
何もしない時間から何かが始まることもあります。少し様子を見てみてください。
Q. スポーツの大会前など、忙しい時期はどうすればいいですか?
一時的に頻度を落とせる形式かどうかを確認してください。
振替や休会の制度がある場合もありますし、当教室では回数が決まっていないため、忙しい時期は間を空けて、落ち着いてから戻る生徒がいます。
Q. 費用の面でも、いくつまでが適切ですか?
ご家庭によって基準が異なるため、一律の答えはありません。
ただし月謝だけでなく、送迎の交通費や教材費、発表会などの費用も含めて計算することをおすすめします。
まとめ
「習い事は何個まで」という問いは、立て方が合っていません。
同じ2つでも、送迎の有無で負担はまったく違います。
見るべきなのは個数ではなく、家庭の時間がどれだけ拘束されるかです。
負荷を決めているのは、次の3つです。
- 送迎があるか
- 曜日が固定されているか
- 親が同席・関与する必要があるか
3つとも「あり」の習い事は、それだけで週の予定を大きく埋めます。
減らすなら、好きかどうかより先に、負荷の高いものを見てください。
そして「続けるか、やめるか」の前に、形式を変えられないかも検討する価値があります。
増やすなら、3つの要素が少ないものから。
実際、スポーツ系と組み合わせるご家庭が多いのは、スポーツ系が3つとも満たしやすいからです。
そして最後に、ひとつだけ。
予定を埋めることが目的にならないようにしてください。何もしない時間から生まれるものもあります。
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- 曜日も時間も固定されていません — 既にある予定を避ける必要がありません
- 送迎はありません — オンラインなので移動が発生しません
- 回数の上限もありません — 忙しい時期は間を空けて、落ち着いたら戻れます
実際、スポーツ系の習い事と掛け持ちしている生徒が特に多いです。
大会が近い時期は頻度を落とし、終わったらまた来る。そうした調整ができる形式です。
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