プログラミングの習い事は意味ない?成績との関係を正直に解説

小学生の学校での勉強の様子を表す画像

「プログラミングって、他の習い事と比べて何がいいんでしょうか」
「正直、うちの子には意味がないんじゃないかと思うこともあって」

こうした声を、保護者の方からよくいただきます。

そして、この疑問はもっともだと思っています。
ピアノなら弾ける曲が増える。英会話なら話せるようになる。スイミングなら泳げる距離が伸びる。
どれも成果が目に見えます。

一方でプログラミングは、通わせてみても何が身についているのか分かりにくい。
だから「意味ないのでは」と感じるのは、とても自然な反応です。

この記事では、その疑問にできるだけ正直にお答えします。
良いことばかりを並べるつもりはありません。
まず、期待しないほうがいい部分からお話しします。

「意味ない」と言われるのは、成果が見えないから

ピアノや英会話と違って、何ができたか説明しにくい

プログラミングの習い事が分かりにくい理由は、はっきりしています。
上達の指標がないからです。

ピアノには曲の難易度があり、英会話には検定があり、スイミングには級があります。
今どのあたりにいるのか、家族にも本人にも見えます。

プログラミングには、それがありません。
作った作品を見せられても、保護者の方には難しさの度合いが判断できない。
「すごいね」と言いながら、内心では何がすごいのか分かっていない——そういう状態になりがちです。

だからこそ、「で、結局これは何のためになっているのか」を、こちらが説明できなければいけないと考えています。

【正直に】成績が上がる保証はできません

教科の点数に直結する習い事ではない

当教室でも、保護者の方から「成績にはどれくらい影響がありますか」と聞かれることがあります。

そのとき、こうお答えしています。

「直接的には関係がありません。成績が上がる保証はできません。」

期待を裏切るようですが、これが実際のところです。
プログラミングを習ったからといって、算数の計算が速くなるわけでも、漢字を覚えられるわけでもありません。
テストの点数を上げたいのであれば、その教科を勉強するほうが確実です。

成績アップを目的にするなら、この習い事は向いていません。
ここは最初にはっきりさせておきたい部分です。

では、何が重なっているのか

ただし、話はここで終わりません。続けてこうお伝えしています。

「各教科や日常生活でも活きる『考え方の土台』が育つのは確かです。ただ、それを数値で証明することはできません。」

証明できない、という部分もそのまま伝えています。
「絶対に伸びます」と言い切れる材料を、こちらは持っていないからです。

そのうえで「考え方が重なっている」という手応えは、現場で見ていて確かにあります。
ここから先は、具体的にどう重なるのかを教科ごとに見ていきます。判断はそれを読んでからで構いません。

なお、ここで言う「考え方の土台」が具体的に何を指すのかは、 子どもの「考える力」とは何か?育ったかどうかを見分ける3つのサイン で分解して説明しています。
測れないという点についても、あわせて書いています。

学校の教科と、考え方がどう重なるのか

算数 — 場合分けと、手順の組み立て

プログラミングでは「もし〜なら、〜する」という書き方を頻繁に使います。

  • もし画面の端に着いたら、跳ね返る
  • もし得点が10を超えたら、次の面に進む
  • そうでなければ、そのまま続ける

これは算数の場合分けと同じ形をしています。
「〇〇のときはこう、そうでないときはこう」と条件で枝分かれさせる考え方です。

もう一つ重なるのが、手順の組み立てです。
文章題を解くとき、いきなり答えは出ません。
何を先に求めて、次に何を計算するか、順番を決める必要があります。
プログラミングでやっているのは、まさにこの作業です。

計算が速くなるわけではありません。
ただ、「順番に分けて考える」という手つきは共通しています。

理科 — 仮説を立てて、確かめる流れ

理科の実験では、こういう流れをたどります。

予想する → 試す → 結果を見る → うまくいかなければ条件を変える

プログラミングでうまく動かないときにやっていることは、これとまったく同じです。

「たぶんここが原因だろう」と見当をつけて、直して、動かして、確かめる。違ったら別の可能性を試す。
理科の授業で求められる思考の流れを、毎回の作業の中で繰り返していることになります。

4教科の中では、この重なりがいちばん強いと感じています。

国語 — 順序立てて説明する力

意外に思われるかもしれませんが、国語との重なりもあります。

プログラムは、順番が違うだけで動きません。
書いてある内容が正しくても、並び順が悪ければ意図した結果になりません。

この経験を重ねると、「順番が意味を変える」という感覚が育ちます。
説明の順序、話の組み立て、主張と根拠の並べ方。文章を書くときに必要な感覚と、地続きの部分があります。

社会 — データを整理して扱う力

プログラミングでは、点数や個数といった数値を扱います。
それをどう記録し、どう並べ、どう比べるか。

社会科でグラフや統計を読むときに求められるのも、同じくデータをどう扱うかという視点です。
数字そのものより、数字の扱い方に慣れることの効果が大きい部分です。

情報(高校)— 唯一、直接つながる教科

ここまでの4教科は「考え方が似ている」という話でした。
ですが、1つだけ直接つながる教科があります。

高校の「情報Ⅰ」です。

情報Ⅰは2022年度から高校の必履修科目になり、
さらに2025年度からは大学入学共通テストの出題教科にもなりました。
国立大学を受験する場合、原則として避けられない科目です。

そして出題範囲には「コンピュータとプログラミング」が含まれ、
実際にプログラムの動作を読み取る問題が出ています。

つまりこの教科に関しては、考え方が似ているという話ではなく、そのまま内容が重なります。
詳しくは 子どものプログラミングはなぜ必要?必修化から大学入試までつながっている理由 をご覧ください。

「意味があるかどうか」という問いに対して、いちばん明確に答えられるのがこの部分です。

他の習い事と比べると、どういう位置づけなのか

「意味ない?」と感じるとき、頭の中では他の習い事と比べているはずです。正直に比較してみます。

習い事成果の見えやすさ学校の勉強との関係続けやすさ
ピアノ◎ 弾ける曲で分かる△ 直接の関係は薄い△ 練習が必要
英会話○ 検定で測れる◎ 英語の授業に直結○ 積み上がる
スイミング◎ 級で分かる△ 体育に活きる程度◎ 体を動かすので飽きにくい
そろばん◎ 級で分かる◎ 計算力に直結△ 反復が中心
プログラミング× 分かりにくい○ 考え方が重なる/情報は直結○ 作る楽しさで続きやすい

プログラミングは「成果の見えやすさ」で明確に負けます。ここは擁護できません。

一方で、学校の勉強との関係を特定の教科に絞られないという特徴があります。
そろばんが計算に、英会話が英語に直結するのに対して、プログラミングは複数の教科に薄く広く重なります。

どちらが良いという話ではなく、性質が違います。
すぐ結果が見たいならプログラミングは不向きです。
逆に、教科を横断する土台をつくりたいなら選択肢に入ってきます。

それでも「意味がない」ケースはある

正直に書きます。次の場合、プログラミングの習い事はおすすめしません。

目的が「成績を上げること」の場合

前述のとおりです。
成績を上げたいなら、その教科をやるほうが早いです。
塾や家庭教師のほうが目的に合っています。

本人が興味を持てない場合

プログラミングは、やらされている状態だと何も残りません。
手を動かさなければ画面は動かないので、気持ちが乗っていない子は本当に何も進みません。

ピアノや水泳は、多少いやいやでも通っていれば技術がつきます。
プログラミングにはその性質がありません。本人の興味が前提の習い事です。

短期間で判断したい場合

考え方の変化は、数か月では見えません。
半年や1年で「意味があったか」を判定しようとすると、ほぼ確実に「よく分からなかった」という結論になります。

時間がかかることを承知できない場合は、始めないほうが健全だと思います。

よくある質問

Q. プログラミングを習うと、算数の成績は上がりますか?

上がる保証はできません。
計算力そのものが伸びる習い事ではないためです。
ただ、場合分けや手順の組み立てといった考え方は重なります。

Q. 将来IT系の仕事に就かないなら、意味がないのでは?

高校の「情報Ⅰ」は全員が学ぶ必履修科目で、大学入学共通テストの出題教科にもなっています。
進路の方向にかかわらず、通る道になったと考えたほうが実態に近いです。

Q. どのくらい続ければ、意味があったと感じられますか?

お子さんによって差が大きく、期間ではお答えしにくい部分です。
ただ、変化は「上手になった」ではなく、うまくいかないときの反応に先に現れることが多いです。

Q. 他の習い事と迷っています。何を基準に選べばいいですか?

何を得たいかで決めるのが確実です。
目に見える成果や、特定の教科の成績を求めるなら別の習い事のほうが向いています。
教科を横断する考え方の土台を重視するなら、プログラミングが候補に入ります。

Q. 家庭で無料の教材を使うのでは駄目ですか?

Scratchは無料で使えるので、まず試してみるのは良い方法です。
多くの場合、つまずいたときに聞ける相手がいるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。

まとめ

プログラミングの習い事が「意味ない」と言われるのは、成果が目に見えないからです。
この点は事実で、他の習い事に比べて明確に不利です。

そして、成績が上がる保証もできません。
それを目的にするなら、別の選択肢のほうが適しています。

そのうえで、確かに重なっている部分があります。

  • 算数 — 場合分けと、手順の組み立て
  • 理科 — 仮説を立てて確かめる流れ
  • 国語 — 順序立てて説明する感覚
  • 社会 — データの扱い方
  • 情報(高校) — 考え方ではなく、内容がそのまま直結

数値で証明はできません。
ただ、教科を横断する「考え方の土台」が育つという手応えは、現場で見ていて確かにあります。

判断の基準は、何を求めるかです。すぐ見える成果を求めるなら向きません。
時間をかけて土台をつくりたいなら、選択肢に入ります。

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そう感じるのは当然です。
だからこそ、まず一週間試して、お子さんの様子を見てから判断してください。
合わないと感じたら、それも一つの答えです。

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出典
文部科学省 – 大学入学共通テストへの『情報Ⅰ』の導入について