見守り育児のコツ|親が言葉を減らすと、子どもは考え始める

見守り育児をする保護者の様子

「早くして」 「ちゃんとやって」 「そんなやり方じゃダメでしょ」

言ったあとで、後悔だけが残る日があります。

そして多くの場合、言いすぎている自覚はあります。
分かっているのに止まらない、というのがこの問題の難しいところです。

この記事では、なぜ言葉が出てしまうのかという保護者側の事情から入って、言いすぎると子どもに何が起きるのか、そして言葉を減らすための具体的な工夫までお話しします。

あわせて、それでも待てないときに自分をどう扱うかにも触れます。
「見守りましょう」で終わらせるつもりはありません。

言いたくなるのは、子どもを信じていないからではありません

不安が、言葉になって出てくる

まず、ここを確認しておきたいと思います。

つい口を出してしまうのは、子どもを信じていないからではありません。
多くの場合、保護者側の不安が言葉の形をとって出ています。

  • このままで間に合うのだろうか
  • 失敗して落ち込むところを見たくない
  • 教えたほうが早いのに

どれも、子どものことを考えているから出てくる不安です。だから止めにくい。

「よかれと思って」が一番止めにくい

意地悪で言っているなら、すぐやめられます。
ですが善意から出ている言葉は、自分でブレーキをかけにくいという性質があります。

だから「言わないようにしましょう」という心がけだけでは、たいてい続きません。

必要なのは、言葉が減る仕組みです。
この記事の後半で具体的にお伝えします。

言いすぎると、何が起きるのか

考える前に「停止スイッチ」が入る

指示が多い環境にいると、子どもは安心して動いているように見えます。
ですがその分だけ、自分で考える必要が失われていきます。

そして繰り返されるうちに、こう学習します。

  • どうせ次も言われる
  • 考えるより、聞いたほうが楽
  • 失敗すると怒られる

こうして、考え始める前に止まるという癖がついていきます。

指示や口出しが多いと、子どもが「どうせ次も言われる」「考えるより聞いたほうが楽」と学習し、考え始める前に止まる癖がつくことを示した図

手を貸した分だけ、奪われる力もある

「親が手を貸した分だけ成長する」——そう考えたくなりますが、実際には逆に働く場面もあります。

手を貸した分だけ、育たなかった力があります。

挑戦には、必ず「できない時間」があります。
そしてこの時間こそ、頭が最もよく働いているときです。

結果を急ぐ言葉は、その時間を中断させてしまいます。

言葉を引き算すると、子どもは足し算を始める

親が少し黙るだけで、子どもの中に眠っていた思考が顔を出します。

言葉を引き算すると、子どもは足し算を始めるのです。

見守るとは、放っておくことではありません

ここは間違えたくない部分です。「見守る」と「放任」は違います。

「口を出さないほうがいい」と聞いて、極端に手を引いてしまうと、今度は別の問題が起きます。
困ったときに誰にも相談できない環境では、子どもは自分でやろうと思う前に、その活動自体をやめます。

見守りに含まれている4つのこと

見守るという行為には、次の4つが含まれています。

要素中身
支える必要なときには手を出す
任せるできるところは渡す
受け止める失敗しても責めない
尊重する成長のペースを本人のものとして扱う

つまり何もしないことではなく、出るタイミングを選ぶことです。

手を出すタイミングは、ひとつだけ

では、いつ出るのか。基準はひとつに絞れます。

子どもがヘルプを出したとき。

それまでは、待つ。
苦しそうに見えても、先回りしない。

早く手を出してしまうと、子どもは「助けてもらえるからいいや」と学び、挑戦の機会を自分から手放します。

そしてヘルプが出たときも、答えを渡す必要はありません。

「困ってるね。どうしたい?」

選択肢を返すだけでも、子どもの中に答えが芽生え始めます。

今日からできる、言葉を減らす3つの工夫

① 結論を急がず、途中を見る

つい言いたくなるのが、この一言です。

「まだできてないよ」

ですが「まだできていない」は、成長の真っただ中という合図です。
できる直前のモヤモヤしている時間ほど、学びが濃くなる瞬間はありません。

代わりに使いたいのが、こちらです。

「ゆっくりでいいよ」

この一言が、子どものペースを守る盾になります。

② 質問役に回る

答えを与えるのではなく、問いを返します。

「どうしてそう思ったの?」 「次はどうしたい?」

親が先生になる必要はありません。
むしろ対話の相手に回るほうが、子どもは自分で思考を整理します。

内容が分からなくても成立します。
むしろ分からないほうが、聞くしかなくなるので都合がいいとも言えます。

③ 一緒に驚く、一緒に笑う

子どもが思いもよらないものを作ったとき。

「すごい、そんなふうになるんだ!」

成功も失敗も、発見の瞬間として共有する。
その積み重ねが「もっとやりたい」を生みます。

そして親自身が失敗を笑って話せる家庭では、失敗がタブーになりません。
「今日こんな間違いをしちゃった」と話してみるだけで、家の中での失敗の扱いが変わります。

それでも待てないときの、自分の扱い方

ここが、実際にはいちばん難しい部分だと思います。

理屈は分かっている。でも目の前で止まっているのを見ると、口が出る。
この状態をどうするかを最後にお話しします。

待つのは、何もしないことではありません

まず、認識を変えたいところがあります。

待っている時間は、消極的な時間ではありません。
子どもが試行錯誤するための時間を、こちらが用意している時間です。

「見ているだけで何もしていない」と感じると耐えられなくなりますが、「今は時間を渡している」と捉えると少し楽になります。

具体的な方法としては、声をかける前に心の中で10秒数えるというルールを自分に課すやり方があります。
10秒あれば、子どもが自分で次の行動を起こすことは案外あります。

記録をつけると、待てるようになります

そしてもう一つ、保護者側にこそ効く方法があります。

子どもの作品や取り組みを、記録しておくことです。

プログラミングであれば、作ったものをスクリーンショットや動画で残しておく。
絵でも工作でも同じです。そして1か月後に見返します。

驚くほど変わっています。

これは子どものためというより、保護者のための道具です。
日々見ていると変化は分かりませんが、記録を並べれば一目で分かります。

「ちゃんと伸びている」と目で確認できると、待つことが怖くなくなります。
待てない原因の多くは不安なので、不安が減れば言葉は自然に減ります。

「安心して帰れる場所」であればいい

最後に、これだけは持っていってほしいことです。

うまくいかなかった日ほど、帰る場所が必要です。

家が「また挑戦しておいで」と背中を支えてくれる場所であれば、子どもは何度でも外に出ていけます。
完璧である必要はありません。悔しい気持ちも含めて、丸ごと受け止められる場所であれば十分です。

言葉を減らすことは、突き放すことではありません。
黙って隣にいることは、もっとも大きな応援になります。

よくある質問

Q. 見守っているだけで、本当に伸びるのでしょうか?

「見守る=何もしない」ではありません。
必要なときには手を出します。
違うのは、出るタイミングを子どものヘルプに合わせるという点だけです。

Q. 待っていたら、いつまでも終わりません

終わらない日があっても大丈夫です。
そこで手を出して終わらせても、身についたものは残りません。
どうしても時間が必要な場合は、内容を減らして「今日はここまでで完成」と区切るほうが健全です。

Q. 危ないことをしていても、待つべきですか?

いいえ。
安全に関わることは、すぐに止めてください。
この記事で扱っているのは、学びや挑戦の場面での関わり方です。

Q. つい言ってしまった日は、どうすればいいですか?

謝らなくても、次に切り替えれば十分です。
毎回できる必要はありません。10回のうち2回減っただけでも、子ども側の感覚は変わります。

Q. 子どもがまったく助けを求めてこないのですが

助けを求めることが歓迎されていると伝わっていない可能性があります。
「よく聞いてくれたね」と反応する経験が積み重なると、頼れるようになります。
この点については 子どもが失敗を怖がるのはなぜ?「失敗を楽しめる子」に変わる関わり方 でも触れています。

まとめ

つい口を出してしまうのは、子どもを信じていないからではなく、保護者側の不安が言葉になっているからです。
だから心がけだけでは止まりません。

言いすぎると、子どもは「考えるより聞いたほうが楽」と学び、考え始める前に止まるようになります。

ただし、見守ることは放任とは違います。含まれているのは4つです。

支える/任せる/受け止める/ペースを尊重する

そして手を出すタイミングは、子どもがヘルプを出したときのひとつだけ。

言葉を減らす工夫は3つです。

  1. 結論を急がず、途中を見る(「ゆっくりでいいよ」)
  2. 質問役に回る(「次はどうしたい?」)
  3. 一緒に驚く、一緒に笑う

それでも待てないときは、記録をつけてみてください。
1か月分を並べると変化が見えます。待てない原因は不安なので、不安が減れば言葉は自然に減ります。

言葉を引き算すると、子どもは足し算を始めます。

なお、子どもが自分から動き出す仕組みについては 自走力のある子どもの育て方|プログラミングで「自分から動く力」が身につく理由 でも詳しくお話ししています。

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